ヒトナツログ

健康でハッピーになりたい

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パワフルあるいは行き当たりばったり力

一昨日の夜中に知らない電話番号から電話がかかってきて、取ってみたら母だった。

母はとにかく元気で、行動力もコミュニケーション力も高く旅行好きで、今はイタリアにいるらしい。

今回は完全にひとり旅で、旅行会社のツアーも通さずホテルの手配もなにもかも自分でおこなって、現地でのサポートもなにもない状態で自由気ままな旅をしているらしい。

母が電話をかけてきたときはドイツの空港で、乗り継ぎ便を待っているあいだにiPhoneに国際SIMを入れて現地でもインターネットができるようにしようとしたところうまくいかず、困り果てて僕に電話をしてきたらしかった(SIMフリー端末は以前に僕が用意してあげた)。

threeというSIMカードを日本で調達して持っていったらしく、これは提携している各国の回線(日本でいうdocomo/au/SoftBank)に繋いでチャージしてあるギガ数分インターネットし放題という便利SIMみたいだった。特別な設定をしなくてもSIMを差し替えるだけで即使えるのもウリらしかった。

でもなぜか差し替えても使えなくて、困り果てて空港のフリーWi-Fiに繋いで僕にインターネット経由で電話してきたようだった。

突然勝手を知らないSIMについて聞かれてもなんのこっちゃという感じだったから、とりあえず僕もネットでググりながらトラブルシューティングして「ここの設定どうなってる?」とか『なんか文字だけでURLもないメールは届いたけどこれなんなんやろ』とかうんうん言いながら設定画面のスクショを撮って送ってもらったりしながらやっていた。

いろいろやってみたところ結局の原因は本来自動設定されるはずのAPNの設定がされていなくて、日本の設定のままになっていたからだった。


トラブルシューティングの最中になにやら調べていたらThreeのSIMは現地じゃなく日本でも開通は先にできるらしくて、いわゆる『ちゃんと使えるかどうか』の確認は日本国内でできる作業らしかった。

母になぜ先に国内でSIMの開通をやっておかなかったのかと聞いたところ、先にやるとまだ海外行ってないのにSIM有効期限の消費がスタートしてしまうからという理由だった。でも同時に『まあ現地着いてからでもたぶんイケるやろって思って……』と言っていた。その謎のイケるやろ自信はどこから湧いてくるのか……。

こういう理論的でない行き当たりばったりで行動する力も才能のひとつではあって、母はこういうところが結構ある。まあなんとかなるやろみたいな。

母は結構な方向音痴で、まともに方角がわかってないので海外のみならず国内ですらよく反対の方向に行ったりしている。でも母は別に方向音痴だからといって行動を自粛したりはしなくて、ガンガン適当に歩みを進めている。これも『今まで帰ってこれなかったことはないしまあなんとかなるやろ』みたいな自信の裏付けがあるらしい。

逸話としては、僕が幼い頃(幼稚園児だったころ)にアメリカへ行きたいからという理由で兄と僕を連れて親子3人でアメリカ旅行へ約1週間くらい連れて行ったり(僕としては連れて行かれたり)していた。

我が家は変な家庭なので(?)旅行は挙手制で、行ける人は行く・行かない/行けない人はパスという施策でやっている。この時は父は仕事で都合がつかなかったのかは知らないけど、とにかくいなかった。

今でこそインターネットもあるし別に母子だけで行くのも変じゃないかもしれないけど、これは2000年代以前の話で、まだスマホから簡単にインターネットにアクセスできるような時代じゃなかったので、結構な突飛な行為ということがうかがえる。

方向音痴なのによくGoogleMapもない時代に子ども2人を連れて目的地へちゃんと行って予定通りちゃんと帰ってきたな……と思う。どれだけパワフルなのか。

子どものパスポートの手配とか荷造りとか旅行会社でホテルや旅行券の発行などたくさん行くまでにもやることはあったはずで、普通そのどこかで「これキツいのでは…?」とか「やっぱやめようかな……」って思う気がするけど、なぜか母はそうならなかったらしい。

母はこのときのことを『いま思うとさすがに自分でもよく行ったな〜って思うわ、若かったし元気やったな』とか『そのときは行けるって思ったんやろなぁ』と言う。

元気と行き当たりばったり力がすごい。


そんな母から生まれたこの日記を書いている僕ですが、その母とは裏腹にまったくこういう行き当たりばったり力がなく、事前にいろいろ調べたりする派でそれだけで疲れてしまってまるで人生にパワフルさがない。

基本的にあまり元気があるほうではなくて、行動は近所のスーパーとコンビニしか行っていない……。

この母から生まれたはずなのに受け継ぐべき一切の遺伝が発現しなかった。なぜなのか。もうちょっとコミュニケーション力とか行き当たりばったり力とかを獲得してもよかったのでは。

楽しい人生を送れる性格はどちらかというと母のような性格のほうがいいはずで、これはもう隔世遺伝に期待という気持ち。しかし隔世遺伝の予定もない。

ちなみに母は4月だったか5月だったかは父を連れてハワイだそうです。僕は家です。