いまは音楽のサブスクサービスはSpotifyを契約している。
お気に入りを付けた曲のプレイリストを再生してみたら、自分の好きな曲ばかり流れてきてすごかった。好きな曲が終わったら次も自分の好きな曲が再生されていって、贅沢だった。こんなことがあっていいのか。
寿司屋でひたすら自分の好きなネタばかり握ってもらっているようなそんな感覚。
普段は適当にAlexaにかけてもらっているか、トップ画面に出てくるレコメンドのプレイリストを再生することが多い。ゆえに「自分が知らなく刺さりもしないけど別にノイズでもない曲」が混ざりながら、たまに好きな曲が流れるかもしれない感じの音楽体験をしている。
サブスクサービスが始まって以来、「膨大な曲数から曲を聞けるから絞り込まないでいいや」とか「自分の知らない曲に触れないのは損なのでは?」という精神が少なからずできてしまって、ゆえに好みのものを厳選して嗜むみたいな機会がいつのまにか減っていたことを実感する。
昔はカセットやCD-RやMDにプレイリスト化したものを焼いていたし、mp3の時代になってもWinampやfoobar2000やiTunesで自分のプレイリストをちまちま作っていた。あの頃は自分の好きな曲ばかりをコレクトして自分の好きな曲だけを聞くのが当たり前で贅沢とかそういう感覚は一切なかった。ランダムに知らないものを聞ける体験はラジオやMTVやタワレコの試聴機くらいで、それらもある程度厳選されたものだったから、いまとは真逆が当たり前だった時代だったんだなと立ち返ると気づきがある。
どっちがいいとか悪いとかそういう話ではなくて、文化や概念や体験の基本が変わると、感情や感覚も変わるのだなというのが面白くて楽しかったというはなし。
休みの日は新しい曲には触れずに、自分の好きな曲だけを聞くという生活ルーチンにすると、音楽体験にメリハリができていいかもしれない。