喫茶店でアイスコーヒー飲みながら本読んでたら、マスターとその来客とのあいだでなにやらあまり穏やかではない会話が行われはじめた。
内容はさておき、マスターは会話の中でお店を40年弱、手を抜かず手間をかけてずっと休まずやってきたと言った。
「手抜いてたらお客さんに満足なんて絶対してもらえないよ。お客さんに喜んでもらうには手間暇かけてやらないとねぇ……当然だよ」
職人の鑑とはこういうことかとしみじみ思った。でも内容が内容の会話だったからか、マスターの背中はどこか少しさみしげに見えた。
当たり前のことを長くやり続けるというのは、簡単にみえて現実はかなり難しい。
マスターのような志強く芯のある人間になりたいと思う夕刻の出来事だった。