ヒトナツログ

最上階角部屋に住みたい

名だけが掠れてゆく

昔から人の名前を覚えるのが得意ではなくて苦労する。きっかけは憶えていないけど何かのタイミングで「ああ僕は人の名前を覚えるのが苦手なんだな」と認識して以降、あきらかな苦手意識がある。

大学生以降はあまりに刹那的に出会う人の数が多いので大変困った。名前が思い出せない。

「○○君、元気してた?」ありがたいことに向こうはどうやら僕のことを覚えているらしい。僕はといえば顔は覚えているしどういう人かも覚えているけれど名前が一切思い出せない。名前だけが…。『お久しぶりです、そちらこそお元気でしたか?』…会話は案外二人称をはぶいても成り立ってしまうことがほとんどだ。

とはいえ名前を思い出せないままいるのはもどかしく、またやはり失礼なことのようにも思うし不安な気持ちにもなる。だから心労という意味合いでも苦労してしまう。

あまりにも覚えられないので名前を覚える方法を調べていくつかを実践した。そのひとつにその人固有の情報や特徴を紐づけて覚えておくというものがあって、一時期は人と会ったあとにひたすらメモを取っていた。【名前・何やってるひとか・何が好きか・見た目の特徴・いつ会ったか】などなどその人と会ってわかったことなどをひたすら箇条書きで書いていく。会ったあと記憶が新鮮なうちに忘れないようにと、面倒だけれどこの頃はひたすらメモ帳に書きなぐっていた。

僕にはこれが結構合っていたのか効果的だった。幸いというかなんというか僕は"名前だけが"覚えられないタイプで、その人の顔や雰囲気や情報についてはむしろ平均よりも覚えているタイプだからかもしれない。そういったその人の情報と名前を紐付ける作業をしておくと、次にふいにその人と会ったときもすぐ顔と情報のインデックスから名前を思い出せるようになれた。

しばらくしてもう書かなくてもイケるのではないかと思って、メモを取る習慣はやめてしまった。ちょうどその頃そんな頻繁に人と会うような生活じゃなくなったからというのもあった。以来メモを取る習慣は一切やらなくなってしまった。


メモを取っていたときの訓練からか、メモを取らなくなってからも以前よりは名前を覚えられるようになっていたし安心安心という感じで過ごしてきていた。

でもここ最近になってまた名前を覚えられなくなってきている。なんだかそんな気がしている。さっき会った人の名前なんだっけなんて思ってしまう。思い出すまでに結構時間がかかるとか、その瞬間に一切出てこなくて家帰ってお風呂入ってるときとかに名前を思い出したりする。だからこんな日記を書いている。思い出せるならまだいいけど全然思い出せないときもある。これを書いている今も先日あった人の名前を思い出せない。

以前は上述のようにめちゃくちゃ狂ったようにメモを取っていたけど、正直ものすごく個人情報を含むので今の自分の意識からはあまり進んでやりたくないというのがある。メモ帳の管理をいま以上に厳重にしないといけない。あと単純に人と会ったあとに時間を作って書かないといけないので正直手間がかかる。

元々苦手だったことだからまたできなくなってしまってきているのか、はたまた海馬が単純に縮小し始めているのかはわからないけれど、またメモを取る生活をしなくてはいけないのかもしれない。

生まれつき名前をスッと覚えられる人がうらやましいなんて思う。