ヒトナツログ

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モノラル

古い喫茶店とか商業施設で流れているような、背景にある音楽やラジオの音の雰囲気が好きだったりする。
主体的な音ではなくあくまで空間の一部に留まっているような。控えめで少しザラついていて、直線的でどこかチープな音——。

ああいった音の空間はなぜ自分の部屋では作れないのだろうかとずっと思っていたのだけど、先日偶然再現できてしまった。

再現できてしまったというのは少し大げさな表現で、実のところは所持していたモノラルスピーカーでラジオを再生してみたらできたというそれだけのはなしだったりする。

風呂場運用目的でこれを持っていて、いままで部屋で使ったことなかったけど部屋で使ってみたら思いの外あの喫茶店とかで背景で流れている音っぽい雰囲気が出た。

防水性が求められるシーン、つまり音楽ではないシーンで使われることを前提にした製品だからというのもあるかもしれないけど、このモノラルスピーカーから出る単一な指向のチープな音が、空間に心地よく響いていい雰囲気を出してくれる。音楽やラジオを集中して聴きたいのではなく、あくまでそれらがある空間を楽しみたいので空間背景に馴染む音を出してくれるスピーカーとなるとモノラルが一番よいということだったのかもしれない。

そういえば凝って質のよいスピーカーが置いてあったりする店はこれまであまり好きになれないことが多かった。いままでなぜかはハッキリわかってなかったけどよくよく考えると音が前面に出てくるのが原因なのかもしれない。天井の隅っこにポツンとメーカーのロゴも入ってないようなスピーカーがあるとか、天井に小さいのが単体で埋め込まれているというような店のほうが心地が良く感じる。

なんとなくこれまでずっと音質の良さは絶対的に正義という概念があったけど、チープな音も悪くないしそっちのほうが心地よいとかベストになる場合もあるんだなぁ、と最近はこの一件で思うようになった。


そういえばチープな音といえば、昔おじいちゃんの家に行くといつも古臭いラジカセからザラついた野球のラジオ中継が流れていた。興味のないザラついたラジオを背景に折り紙を折ったりして過ごしていた幼年期の原体験がどこかに刷り込まれているのかもしれない。

部屋の背景に適度にチープな音を配置するといい雰囲気になって結構よいです、という話を伝えたかった。